今年に入ってから、北朝鮮はミサイル発射をはじめとして挑発行動を繰り返していますが、この行動の裏にはミサイル発射を通じて為替を操作しようとしていたのではないか、と勘繰る人も一部にはいます。
そこで、この記事ではミサイル発射によって為替にどのような影響が出て、北朝鮮はそれによってどのような利益を得たかもしれないのか、ということについてご説明します。

ミサイル発射で金正恩が海外FXトレードでかなりの儲けが出た

まず、北朝鮮に関する具体的なお話をする前に地政学リスクと為替相場の関係についてご説明します。
為替相場は、様々な要因で変動します。例えば経済指標や中央銀行の発表、要人発言などで動くことはしばしばです。

しかし、これら経済的な要因に加えて戦争やテロ、天災などの突発的な事情によって動くこともあります。
特に、ある特定の地域が抱える政治的・社会的・軍事的な要因によってもたらされるリスクのことを経済用語では「地政学リスク」と呼びます。
北朝鮮のミサイル発射による挑発行動は、この「地政学リスク」に分類されます。

ところで、ミサイル発射について正確な情報を知っているのは北朝鮮の一部高官のみです。金正恩氏も当然そこに含まれているでしょう。であるとするならば、ミサイルの発射時刻を知っている金正恩氏がそれに併せて為替取引をして、利益を上げるということも理論上は可能性があります。とりわけ、以下でご説明しますように地政学リスクが発生するとほぼ例外なく円高になるため、金正恩氏がドル円の売りポジションをもっていても不思議ではないのです。

※もっとも、国内FX取引を行うのは困難であるとみられていますから、北朝鮮国外において、金正恩氏の指示によって何者かが為替取引をし、その利益を後で北朝鮮国内に送金するという仕組みになると考えられます。

日本の為替の影響は

円相場はしばしば「安全資産」であると言われます。実際に安全資産であるかどうかは議論の余地があるのですが、しかし「リスクオフの際には円高になる」ということがこれまでも続いたため、「今回も円高になるのではないか」と考えて取引する外国人投資家(FXトレーダー)は多く、実際に今回のミサイル発射でも、円買いの行動に出ました。

※ただ、具体的に相場を見ていくとミサイル発射の報道が伝わる少し前から円高が始まっており、この動きはミサイル発射の事実を知っていないとできないため、北朝鮮が為替取引をしていてFX市場を操っているのではないのか、と勘繰られる根拠となっています。

過去に、天災や戦争などで円高になったことは何度もありますが、最近ではシリアの戦争や東日本大震災などが挙げられます。
特に東日本大震災では、日本で起こったリスクであるにもかかわらず円が買われたため、今回のミサイル発射でも円高を予想していた人は多いといえます。

その他の海外為替には影響が出たのか

ここまでのお話は、主に米ドル円を前提にしてのことでした。
しかし、為替相場ではほかの通貨の取引もされており、たとえドル円でドルが売られて円が買われていたとしても、ほかの通貨ペアではドルが買われたりしていることは少なくありません。この項目では、米ドル以外の海外為替がミサイル発射によってどのように反応したのか、についてご説明します。

米ドル以外で大きな影響を受けたのは、日本と地理的に近いオーストラリアの豪ドルと、ニュージーランドのNZドルでした。この2通貨は地理的に日本や北朝鮮に近く、また通貨の属性としてもリスクオンの時に買われ、リスクオフの時に売られる「リスク資産」であることから、対円のみならず対ドルでも大きく売られました。

一方で堅調だったのは、ユーロです。ユーロ円こそドル円のあおりを受けて少し売られたものの、対ドルでの為替であるユーロドルは堅調さを保ち高値を追う展開となりました。

結局戦争が戦争や災害などが起きてしまったら円高になってしまう

いかがだったでしょうか。
上記で説明した通り、為替相場は経済指標や中央銀行の発表など、予め発表されることが予定された情報によっても変動するほか、今回のミサイルの発射のように地政学リスクや、地震などの天災によってもFXチャートは突発的に変動します。とりわけ、クロス円は円安になるときは緩やかに変動することが多いですが、リスクオフによって円高になる時の動きは素早く、今回のミサイル発射でも急な円高によって思わぬ損失を被ってしまった人も少なくありません。
ミサイル発射そのものを予測することは極めて困難ですが、そうであってもFX初心者からFX上級者まで為替取引をする以上必要なリスク回避の対策をしておく必要があります。

例えば、長い期間ポジションを保有する場合には、その間に偶発的な出来事が起こることを予想して、数円の下落には耐えられる程度の低いレバレッジで取引されてはいかがでしょうか。また、短期売買をされる場合にはミサイル発射がなされたらすぐに損切り&ドテンができるようにストップロスを設定しておくことも効果的です。